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この季節、冷たい風に当たって歯がキーンとしみたり、うがいの水や歯ブラシなどに刺激を受けてビクッとなることはありませんか?
それは知覚過敏になっているサインかもしれません。 歯の表面はエナメル質と呼ばれる組織に覆われています。エナメル質は外部からの刺激を遮断する役割をもち、体の中で一番硬い組織と言われています。その下に歯の大部分を占める象牙質があります。
象牙質の中には象牙細管という細い管が無数に通っていて、歯の神経(歯髄)へとつながっています。歯の根の部分(歯根部分)にはセメント質の層が覆っています。エナメル質やセメント質の層が削れたり欠けたりすることで象牙質が露出し、象牙細管を通じて刺激が神経へ直接伝わることで痛みを引き起こすのが知覚過敏で、『象牙質知覚過敏症』と呼ばれています。
電気が走るような瞬間的な痛みが特徴です。しかし、必ずしも歯が痛くなるわけではなく、唾液中のカルシウムや歯髄の働きによって痛みが軽減されたり、痛みを感じない場合もあります。また、冷たいものだけでなく熱いものや甘いものがしみる時もあります。
日本人の3人に1人が知覚過敏とも言われています。ではいったいどうして知覚過敏になってしまうのでしょう。
ブラッシングの仕方
歯を磨くときに力を入れてゴシゴシブラッシングしていませんか? また硬すぎる歯ブラシを使用していると歯が傷つけられ、歯ぐきが下がってきてしまうことがあります。
<対処法>
歯科医院でブラッシングの指導を受け、正しいブラッシングを身につけましょう。歯磨きは毎日のケアですので、歯ブラシも自分に合ったものを使用し、歯磨き粉は知覚過敏専用のものがおすすめです。歯ぎしり・噛み合わせ
過度なストレスなどが原因で就寝中に歯ぎしりをしてしまい、歯が削れてしまうことがあります。
また、噛み合わせに異常があると摩擦で歯がすり減ってしまいます。
<対処法>
就寝中につけるマウスピースで歯をカバーし、歯ぎしりによるエナメル質や歯周組織の破壊を防ぐ治療がおこなわれます。
しかし、歯ぎしりの原因となっているストレスの根本的な解決や、上手なストレス解消法を見つけなくては、残念ながら歯ぎしりそのものを治すことはできません。
また、噛み合わせの異常は放っておくと歯だけでなく、肩こりや腰痛など体全体へ悪影響を与えてしまうので、矯正歯科できちんと治療しましょう。歯周疾患
歯周病の進行によって歯ぐきが下がり、歯根が露出してしまっているケースがあります。
<対処法>
原因となっている疾患を治療をすることが大切です。安易に自分で判断すると治療が遅れてしまったり、悪化する原因となりますので、歯科医院できちんと診察を受けることをおすすめします。酸
歯のエナメル質はph値が5.5を下回ると溶け始めます。酸性の飲食物が長く口の中にとどまっていると、歯は酸の影響を強く受けてしまいます。
<対処法>
食後は口の中に長く酸がとどまらないよう早めにお茶や水で中和させましょう。■フッ化物塗布、コーティング
露出してしまった象牙質にフッ化物を塗布したり、レジン(樹脂)や歯科用セメントでコーティングすることでしみる症状を改善します。
薬の塗布は数回塗布しないと効果が得られない場合もあり、コーティングも歯磨きで擦り減ってしまうことがあります。
しかし、その間に歯の再石灰化がうまく進めばしみる症状はなくなり、結果的に知覚過敏が治ることも期待できます。■薬の服用
知覚過敏の痛みがひどい場合には消炎鎮痛剤を使用します。しかしこれは痛みを抑えるだけで、根本的な治療にはなりませんので、他の治療法と合わせて行われます。
■レーザー治療
初期の知覚過敏に最も有効な治療法で、露出した象牙質にレーザーを照射することで表面を保護し、外部の刺激を遮断します。
治療時の痛みもほとんどありません。■神経を抜く
知覚過敏が重症になってしまい、薬やレーザー治療では痛みが取れなくなってしまった場合、最終手段として歯の神経をとることがあります。
これによって痛みは全くなくなりますが、歯の神経をとると歯に栄養がいかなくなるので、割れやすくなったり、変色や虫歯が進行しやすくなるなどのデメリットがあります。